病院や施設に入る際に、よく「保証人」「身元保証人」「身元引受人」「連帯保証人」などの名称で、本人とは別の人を立てることを依頼されます。
ここでは、これらを総称して「身元保証人」と表現します。
日本の法律で、医療サービスを受ける場合の保証人の定義、介護サービスを受ける場合の保証人の定義はありません。厚生労働省は「身元保証人」と表現することが多いですが、広島県内では「連帯保証人」と表現する病院が多いようです。つまり、それぞれの病院や介護施設ごとに、保証人の定義を定めて運営しているので、言葉がバラバラなのです。
身元保証人の2つの意味
一般的に、病院へ入院する際の保証人や介護施設に入居する際の身元保証人には、「医療費や介護費の支払い」についての金銭保証と、本人の意識がなくなった場合や、逝去した場合の「緊急連絡先」としての役割を担うという2つの意味が込められている場合が多いです。
医療機関に入院する際の身元保証人とは
医療の現場でサービスに従事している医師や看護師のみなさまは、この患者さんに何かあったときに、誰に連絡すればいいかを確認したいのです。そうしないと、患者さんが意識を失ったときに医療的処置に困ることがありますし、急に亡くなられた場合でもご遺体を引き取っていただく必要があるからです。
つまり、「あなたに何かあったときに、誰に連絡をすればいいですか?」ということです。
医療機関では、患者さんの意識が無くなる場合や患者さんが逝去する場合に備えて、入院した後に身元保証人(緊急連絡先)を求めることは多いです。
医療機関に入院する際、身元保証人がいない場合
一般的に医療的措置について本人の意思が確認できない場合は家族に確認をするのですが、家族がいない人の場合、困ります。しかし、入院する患者さんのうち家族がいない人もいらっしゃるので、身元保証人という言葉に、このような意味も含めて使っているのです。なお、大きな病院は、身元保証人がいなくても入院を受け入れてくれますし、医療サービスを提供してくれますので、保証人がいないと入院できないということはありません。
介護保険による介護サービスで、身元保証人もしてくれるのか?
ごく稀に、担当のケアマネジャーさんが、無償で財産管理をしてあげたり、無償で保証人を引き受けたりしているという話を耳にすることがあります。
しかし、介護保険による介護サービスは、定められたサービス以上の業務はできません。
たとえば、介護保険で実施する介護サービスでは、重い認知症の高齢者へ財産管理サービスすることや、入院時の保証人を引受けることができません。
本来の介護保険サービスではないので、ケアマネジャーさんが本来の仕事以上の仕事や責任を無償で負っていることとなり、金銭トラブルや法律上のトラブルに巻き込まれる可能性もあるので注意が必要です。
入院時に身元保証が不適切になるケース
医療行為(手術・予防接種等)の同意について、厚生労働省作成の「『身元保証』がない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」及びその解説に、詳しい記述があります。それらのガイドラインと解説で示されている考えは、患者本人が医療についての希望を意思表示できない時は、患者本人と元々から信頼関係のある人が、患者本人の医療についての希望を医療機関へ伝達すべきということです。
つまり、患者本人と信頼関係がないのに入院時に急に呼ばれた身元保証事業者や、患者本人がすでに重たい認知症になっている場合は、この信頼関係を構築できないために不適切ということになる可能性が高いです。
最後に
全員が認知症になるわけではありませんが、長生きするほど、認知症になる確率は上がります。認知症と診断されなくても、年相応に、筋肉も脳も衰えます。長生きするほど、ひとりでは、どうにもならない時が来ます。介護保険のサービスで財産管理、身元保証、逝去後の対応などはできません。遺言作成だけでなく、必要なサービスをバランスよく受ける準備が必要です。だから、終活サポート事業者と契約し、終活サポート事業者からバランスのとれたサポートを受ける準備が必要です。
人生安心サポートセンターきらりの場合、身元保証人、身元引受人、連帯保証人、緊急連絡先を引き受けることに加えて、必要に応じて、病院受診の付き添い、介護ヘルパー手配などのサポートも行っております。気軽にお問合せください。